京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。
ヨーロッパDセグメントサルーンがいよいよ日本でも面白くなってきましたねえ。BMW3シリーズ、M・ベンツCクラス、アウディA4のジャーマンプレミアムブランド御三家で今まで8割ぶんどってきたんですが、ここに来て魅力的なクルマ、ゾクゾク登場です。プジョー407でしょ、アルファロメオ159でしょ、そしてこのVWパサート!
なんたってヨーロッパじゃ、プレミアム御三家を抑えて堂々一番人気となったモデル。年間25万台って言うからすごいじゃないですか。先代なんかは、実はノンプレミアム系Dセグメントのベンチマークだったって言いますし。
でもって、今度のはプレミアム路線の兆しもあり。もともとワゴンのバリアントは日本でも人気がありましたから、潜在的な可能性としては407や159より上だと思います。日本人が好きなドイツもんですしね。
さて。日本に入ってくるのは3エンジン5モデルです。2L直4FSI自然吸気(FF)、同ターボ(FF)、3.2V6FSI(4WD)にそれぞれセダンとバリアントがあるわけですが、3.2のバリアントだけ遅れて導入(秋頃?)です。
要点を整理しておきましょう。
1:エンジンは全部VWお得意の直噴。特にV6は新開発で、バンク角10.6度という超狭角ユニット。これにDSG6速と4WDを組みあわせた。
2:2.0Tには15mmローダウンのスポーツサスを標準装備。
3:このクラス初の電動パーキングブレーキ採用。オートホールド機能を備え、渋滞時に便利。4輪ディスクブレーキにはディスクワイパーが付き、雨天時における制動性を高めた。
4:ひと回り大きくなったボディサイズ。ちょっと派手になったインテリア。
5:世界トップレベルの防振、防音性能。特にフロア振動の少なさは特筆もの。
クルマがでかくなったけですから、中は当然広いし、荷室もばっちり。旧型にあった、さりげなさとかシンプルでプレーンな美しさとか、そんなツウ好みのひたむきさは残念ながら薄れました。ギラギラしたワッペングリル、派手なインテリアデコレーション。まあ、高級に見えるってことも大事ではありますが。
ちょっと野暮だけどいつも温かく抱きしめてくれた田舎のおっちゃんが、久しぶりに会ってみるとちょいワルに変身していた、みたいな。でも暖かいことには変わりなく…。カタチ、ドイツで見たときはなんか昔のカルディナみたい(ワゴン)って思いましたけど、日本で見ると何故か新鮮。面の張りとかが薄っぺらくないからかな。
クルマはとてもいいですよ。ベンベの3乗って、ボルボのVを流行りで試して、ベンツのCにも乗って、辿り付いたのがパサートだ、って言われたら「なるほどねえ」って唸ります。それぐらい、いいクルマ。
一番パサートらしいのは、最廉価の2.0ですね。もさっとしたエンジンが似合っていて、乗り心地もいい。追い越し加速は確かにしんどいですよ。でも必要十分。物腰が柔らかいというか、絶妙でね。しかもインテリアの雰囲気は、木目を使わないこいつが一番。
ターボは速いけど、乗り味も加速感もちょっと敏感。3.2V6の方がまだ落ち着いて乗れる。お金に余裕があればV6サイコーなんだけど、コイツの実力発揮は200km/hオーバーですから。その領域は恐るべしですよ。日本じゃ宝の持ち腐れの感じがするし、パサートで見栄張ってもどうかと思うしね。
よくできたサルーン&ワゴンが319万円から。ターボで革シートにしてもBMW318ぐらい。ね、ちょっと惹かれませんか?
フロントグリルのメッキ部分はミラー状でかなり目立ちます。先代モデル、ヨーロッパではダントツ人気だったといいます。出来映えの良さから、このモデルもかなり売れることが予想されます。日本ではどうかな?
トランクリッドとバンパー部分に、あえて“段差”を設けています。デザインの遊びでしょうが、もしかしたらダウンフォースに役立っているかも(笑)。丸目のリアランプが、ちょっとスカイラインっぽい?
木目パネルが装着される高級バージョンもありますけど、廉価バージョンのスチールパネルで十分です。というのも、木目パネルよりもこっちのほうが落ち着きあります(笑)。キッチリカッチリした雰囲気たっぷり