京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。
オールロードクワトロのことをボクは頭文字をとって「ARQ」と呼んでいます。だって長いし、たまに「オール道路クワトロ」って言ってしまうし…。旧型ARQには惚れましたね。いろいろあって買わなかったけど、一時はホントに欲しかった。
先代で高速道路を走っているとき、目の前に木材が散らばっていたのことがあったんです。ブレーキ踏んでも間に合わないし、避けたらスピンしそうだし、ってそのまま突入せざるを得ませんでした。木材を超高速で乗り越えてしまった!すぐさまパーキングエリアに入って下覗き込んだけど、まずは生還。周りには木材にひっかかったS14シルビアとかいたっけ。ようできたGTカーだと思います、ARQ。
その2代目が登場というわけで、ボクは大いに期待して試乗会会場に向ったのですが…。まあ、モーターショーで見ているから予想できてたことなんだけど、旧型に比べるとなんだか格好悪い!黒灰色の部分がなんだか取って付けたようで、オーラも少ない。フェンダーなんかの出っ張りも控えめだし、リアバンパー横なんかまるで国産商用バンみたい。
恐らくベースモデルのデザインが格好よくまとまりすぎて、イジりきれなかったんだろうな。ほらっシンプルでプレーンなデザインって、エアロパーツ付けやすいでしょう?逆に完成されてると、後付けが難しい。フルカラー仕様(全部が同色)、早く用意したほうがいいかも。でもそうなると、A6アバントとどう違うのってことになるんだろうなあ。難しいもんだね。ミテクレに関して旧型オーナーたちは、ひと安心というわけだけど。
当たり前だけど、走りは相当に進化しています。あまりに進化していて、3.2L V6エンジンを搭載したARQはフツウのA6アバントとどう違うの、って思いました。まぁ後で気付いたんだけど、実はエアサスのモードがオートマチックになっていた。“らしく”乗りたいならオールロードモードにしなきゃいけなかったらしい。
ここで、5つあるアダプティヴエアサスペンションのモードを簡単にご紹介。操作はアウディお得意のMMIで。
リフト:一番高い。最低地上高が200mm。でも35km/hね。
オールロード:これが“らしい”モード。通常190mmだから。で、60km/h以上で175mm、120km/h以上で155mmに。最低地上高155mmってのがノーマルA6と同じ高さ。
コンフォート:気持ちいいモード。155mm固定。
オートマチック:誤解しやすい名前だけど、155mmスタートで120km/h以上だと140mmになる。
ダイナミック:140mm固定。カッ飛び用。空気抵抗も減るんで燃費も良くなるんだとか。
簡単に言うとオートマチックとかダイナミックだと、フツウのA6とあんまり変わりません。コンフォートも割とそうかな。変わるのはオールロードモード以上。ゆらりとした乗り味が、たまらん。クルマとしてのバランスが良かったのはV6なんだけど、加速時のパワーとか物足りなかったなあ。走りの質感は断然、旧型より上。
オールロードクワトロらしい走りは、V8モデルでしたね。新しく直噴になったV8エンジン。旧型では野蛮な感じがしたけど、新型はしっかり使いこなせています。シャーシ性能が相当に上がったからでしょう。ちょいフロントヘビーな感じは気になるけれど、全身これゴムまりのような、それでいてところどころユルい乗り味は、とってもユニークです。
結論。旧型オーナーはそのまま乗るべし。これから中古を探すもよし。なんたって200万円台から見つかりますから。でもって新型を買った人は、心の中で叫んでください。「クルマは中身で勝負だぞ!」ってね。