筆者プロフィール

西川 淳 Jun Nishikawa
1965年式
生産地:日本国 奈良県
型式:unknown

京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。


西川淳の「試乗会でこんにちは!」

次期スカイライン米仕様に試乗

Posted at Wed Sep 13 18:15:08 2006

インフィニティG35に乗ってきました

G35(日本におけるV35型スカイライン)は日産の高級ブランド、「インフィニティ」の販売台数において3分の1を占めています。言ってしまえば、ブランドへのメインエントランスモデルとして非常に重要な役目を担っているクルマなんですねえ、今や。

一方スカイラインはといえば、日本で一番名前の通ったクルマながら、“ケンメリ・ジャパン”の頃を頂点に販売台数=国内人気はジリ貧。あの頃、年間16万台以上も売れていたって、信じられます?減少傾向に歯止めがかかったのはR32型デビュー時の一瞬だけで、R30型最終年度にはまだ10万台規模であった年産台数も、R34型最終年度には1.3万台にまで、縮小してしまいましたとさ。とほほ。

ところがどっこい!現行V35型になってその台数は9万台レベルまで大復活!!不人気なはずのスカイラインがどーして?答えは、そのほぼ9割を北米市場で売りさばけるからなのです。今やスカイライン=インフィニティG35は、世界で最も保守的なマーケットの1つである北米市場用のクルマなんです。だから今回、誰が見てもキープコンセプトと分かるモデルチェンジになった、というわけ。ちなみに先代G35は02年3月から今年6月までに合計26万台以上(内クーペ10万台弱)が北米市場で登録されていて、モデル末期でもその人気はほとんど衰えていません。

アメリカ人のためのスカイラインになってしまった、というのは言いすぎですが(だって、元々はアメリカで売るつもりなんかなかったクルマですから)、アメリカ人を意識しなきゃいけないクルマになったということは間違いありません。それでは新型G35で注目すべきポイントを簡単に解説しておきましょう。

1:土台となるFR−Lプラットホームを第2世代へと進化させた
2:世界的に評価の高いVQエンジンも第4世代VQ−HR型へと発展した
3:世界初の4輪アクティブステア(4WAS)システムを採用した
4:よりエモーショナルな外観、より質感の高いインテリアを実現した

見た目の大きさは、ほとんど変わりません。数字上では全長が5mm伸び、幅が20mmワイドになって、全高が20mm下がりました。FRスポーツセダンらしいロングノーズスタイルに、こんもりとした肉感的なリアフェンダーを組み合わせることで、先代に乏しかったダイナミックさを上手く演出しています。般若のように怒ったヘッドランプがはまった、凝りに凝った作りのフロントフード周りも特徴的。

インテリアの質感向上はものすごい。アメリカ市場でも不評を買っていた部分だけに、相当リキが入っています。デザイン性や見栄え質感は、旧型オーナー(実はボクもクーペに乗っています)が地団駄踏むほど。和紙テイストを採り入れたアルミニウムトリムはちょっとやりすぎかと思いますが、並行ステッチ付きの370パイレザーステアリングホイールや剛性感たっぷりのマグネシウム製パドルシフトなど、細かな点まで気配りされていました。

さぁ、306hpの新V6エンジンに火を入れましょう。アメリカ仕様のエグゾーストノートは相変わらず逞しい。しかも余計な雑音や振動が相当減じられているから、派手ではないが芯のあるいいサウンドに聞こえます。排気音に関する規制の違いから、日本では大人しいサウンドにせざるを得ないのが残念!

試乗車として5ATモデルと、日本のスカイラインには恐らく設定されない6MTモデルが用意されていました。まずは5ATモデルから。着座位置が下がったことで、先代のようにフロントウィンドウ越しに景色を見下すような違和感のあるドラポジじゃなくなりました。極めてセダンらしい景色です。アクセルペダルを踏みこむと、ガツーンと間髪入れず、身を乗り出すように動き始めます。その突発さ加減というか、あせった動きは先代譲りで、アメリカ人好みのセッティングでしょう。パワフルさは十分に伝わってくるのですが、はっきり言って不快だなあ。

その先の加速はまずまず。特に3ー4000回転あたりのうねりが気持ちいいエンジンです。7500rpmまできっちりとパワー感を伴って回ってくれますしね。ただ、8速とか7速とか、最近の多段オートマチックに慣れた身には、シフトチェンジ時のパワー抜けなど全体的に加速フィールが古臭く感じられたのも事実。変速時間もさほど短くないですし。さらに気になったのが、激しいロードノイズとフロント側の硬さ。フロアの振動もそれなりに出ていて、先代モデルの初期もしくはZ33フェアレディZのデビュー時が思い出されました。つまりはこの味付けもアメリカ人好み、ということでしょうか。日本のスカイライン用には違うチューンが施されるというから、ひとまずは安心しているのですが。

逆に緩やかなコーナーでの節度感や直進時のしっかり感は相当高いものがあります。重量バランスのよさと剛性数値の高さが効いているのでしょう。この辺りは一級品!期待の4WASでしたが、結論から言うとまだまだ未完成。まず、乗り心地が他のグレードに比べてはっきりと悪化しています。また、30km/h以下で軽く、そこから徐々に重くなる制御には満足できましたが、60km/hを超える領域でコーナー中にステア操作を加えた場合の違和感が最後まで気になってしかたがなかった。ただし、高速域での安定感は抜群に高いものでした。

最後に日本のスカイラインには用意されないであろう6MTモデルの感想を少し。シフトフィールそのものは、それほど気持ちのいいものではありません。先代と同じようなもん。進化が見られない気がするなあ。「VQ35HR」エンジンも8割以上新調したとはいえ、マニュアルミッションで上まで回して楽しいエンジンには変身していません。ただし、3ー5000回転域を3速あたりでキープしながら空いたワインディングをかっ飛ぶ分には、乗り手の手足がクルマと一体になるようで、なかなか気持ちのいい体験でしたね。

まあ日本仕様、つまりスカイラインに乗ってから細かいことは判断すべきでしょう。

     

Photo Collection

写真:筋肉質な雰囲気が出ている

筋肉質な雰囲気が出ている

先代に乏しかったダイナミックさを上手く演出しています。般若のように怒ったヘッドランプがはまった、凝りに凝った作りのフロントフード周りも特徴的だと思います

写真:リアはさほど変化なし

リアはさほど変化なし

先代モデルとあまり大きな違いを感じさせないリアビュー。それにしてもフェンダーアーチがこんもりと盛り上がるだけで、ここまで筋肉質な雰囲気を出せるとは凄い

写真:プラスチックパーツがイイ!

プラスチックパーツがイイ!

先代モデルはすぐに爪で傷ついてしまう安っぽいプラスチックパーツでしたが、変わりました。運転席も助手席もクルマに包み込まれるようなデザインで、これはウケるのでは?

写真:日産渾身の力作エンジン

日産渾身の力作エンジン

「VQ35HR」エンジンは8割以上新調したとはいえ、マニュアルミッションで上まで回して楽しいエンジンには変身していません。3000ー5000回転域は気持ちイイけど

写真:こんなクルマも居ました

こんなクルマも居ました

日産が北米においてインフィニティブランドから発売しているFX45。いつ見てもカッコいいです。スポーツカーのような走りをする高級SUVです。日本に導入しないの?