京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。
最近、ヨーロッパでもモノフォルムワゴンの勢いってすごいらしいです。知らない間にコンパクトモデルで13、ラージモデルも12車種存在していて、販売台数でもセダンの半分ぐらいまできているらしい。日本はミニバンの国なんて言ってるけれど、ヨーロッパもそのうち続くかも。なんだかんだ言って、便利なもんは便利だわな。ボクはあんまし好きじゃないですけどね、背の高いクルマ。
その理由は格好とかそういうのだけじゃなくって、まともに走らないってのも大きかったわけです。なんかユラユラするし、高いところに重さを感じるし。ところが最近、まともに走るミニバンが増えてきて、そんなこと嫌いの理由になんなくなってきた。国産だとマツダMPVとかホンダストリームとか。まあ、オデッセイは当然ですけどね。
ヨーロッパメーカーも考えることは一緒みたい。というか、ようやく走りも機能もまともなミニバンを作り始めたぞ、という感じ。今回、シトロエンC4ピカソに乗って、そんな想いを一層強くしましたね。C4ピカソは、クサラピカソとC8(日本未発売)の間に入る、7人乗り3列シートのモノフォルムワゴン。一見、最近のシトロエンみたく奇抜なルックスではありませんが、よく見るとやっぱり面白かった。
なんでもビジオスパスというらしいのですが、英語だとスペースビジョンかな、フロントウィンドウをなんとドライバーのおでこの上ぐらいまで引っ張りあげて、天地方向のガラス面を倍増したというもの。ガラスルーフは流行りですけど、フロントウィンドウが頭の上までくるクルマには乗ったことがありません。
天気がいいと、正直おでこが痛かった。ひりひり。けれど新鮮ですよ、あの視界の広がりは。サンバイザーに工夫があって、フツウのクルマ感覚なウィンドウ面積にすることもできますが、ボクは意地でもおでこに光を当て続けましたね。だって、気持ちいいじゃない?ミニバンにオープンカーを、と叫び続けているボク(ほんまか?)には、まだまだこれでも甘いと思うのです。
冗談はさておき。とにかく眼前の景色が広いわけですから、なんだかでっかいミニバンに乗っている気分。人によっては、精神的にでかいクルマに載せられてる気分になって、運転しづらいかも。でも実際に動かしてみると、これがもうよく出来た走りを見せてくれるんで、そんな不安なんてすぐに解消。
C4と同様ほぼすべての操作系を不動のセンターパッドに納めていますから、インパネ周りはすっきりしています。質感も驚くほど高い。試乗車は2L直4DOHCに6速のセミオートマ(ロボタイズドMT)を組み合わせた16インチタイヤモデルで、このシフトレバーがまたけったいな位置にあって、シトロエンらしい!センターパッド上ににょっきり生えているんですね。でもって使いこなすには慣れが必要。ちなみに従来どおりのオートマチック仕様もあるようです。MTは、おそらく日本には入ってきませんが、センターコンソールにシフトレバーがありました。
ディーゼルの方がトルクがあって気持ちよかったんですが、ガソリンでもまずまず。セミATもシフトアップの変速ショックも少なめで、悪くない。とは言ってもセミATには限度ってもんがありますから、キックダウン時のでかいショックなど、きらいな人には駄目かも。日本には、念のため、オートマも入れるそうです。遅そうだけどねえ。
乗り心地は、昨今のシトロエンの例に漏れず、街乗りから高速(130km/hくらい)まで素晴らしいのひと言。特に街乗りの穏やかさは、ミニバン界の一等賞。弾力があって、腰応えもよく、柔らかすぎずにまろやか。うーん、美味い酒に出会ったときのように幸せな気分です。100km/h前後では、魔法のじゅーたん並。乗ったこと、ありませんけれど。しかも、2列目3列目でも同じ心地よさですから。さすがに床下収納可能な3列目の大きさには不満がありますが、それとて子供用と安易に言い捨てるのがもったいないほど、ちゃんとした乗り心地です。
静粛性、振動のなさも特筆もの。ボディの幅が広いので、日本の道ではちょっと苦労かも知れませんんが、とっても室内がゆったりしています。ルノーグランセニックも相当良かったですが超高速域の安定さ以外、C4ピカソの敵じゃないかも、です。
あとね、室内の照明がイケてます。なんか夜、オレンジ色に光るんです、M・ベンツのSクラスみたいに。あはは。ミニバン全盛の日本でも、十分通用すると思います。しゃれオヤジに、ぜひ!