京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。
あえてトヨタって言いますけど、久しぶりにトヨタ系で“わくわくドキドキ”できるクルマに乗ることができたね。富士スピードウェイの本コース、しかも完全ウェットっていう悪条件だったから、乗り心地はおろか基本的な性能の如何も分からなかったけれど、それでも楽しいと思えた。
まず、音やね。アイドルから低回転域では、地面をしぶとく這うような、ちょい下品で心地いい排気音。中高回転域ではそれが“爆発をせかす”吸気音に変わって乗り手に俄然ヤルキが出てくる。そのままレッドゾーンまで引っ張って行くと、精密機械の一糸乱れぬ動きが目に見えるようなメカニカルサウンドが加わり・・・。
すごく分かりやすい、言い換えれば、あざといぐらいのサウンドチューニングなんやけど、クルマ運転好きにはたまらんやろね。ボクはたまらんかった。エンジンフィール、パワー感もきっちり同調していたから、余計、楽しいんだと思う。音だけで後が全部おいてけぼりじゃ、興ざめやしね。
もう1つ。ハンドリング。雨やったから逆に素性の良さが目立った。動きが手に取るように分かって、反応もストレート、自然。速く走るにはそれ相応のドラテクが要求されるやろうけど、ボクみたいなんでも“楽しい”と思えるセッティングになっている。開発中のエンジニアが“おもしろがりながら”IS−Fを造っている様子が思い浮かぶもの。いいな、そんな仕事してみたかったな、なんて精密工学科出身としては思うわけ。
ステアリングフィールの骨太さなんて、ベースとは雲泥の違いやって思っていたら、違う日に乗った改良型ISもすこぶる良くなっていたのには驚いたな。マイナーチェンジしたGSともども、レクサス各車のパフォーマンスは確実に上がっています。ブランドを造ってゆく上で、これはとても大事。最終型が最高、なんてユーザーの声が出て来たとき、レクサスははじめてプレミアムブランドとして根付くんやろね。
766万円かあ。日産GT−Rの11万円安。絶対性能では完璧に負けるけど、ドライビングを楽しむプロセスがまるで違うだろうから、こういう選択肢もありだと思う。新型M3よりはドキドキしたよ、少なくとも。M・ベンツC63AMGには負けるけど。
いずれにしても、こういうクルマ、最近のトヨタ車系にはなかったからなあ。コンセプトはいいけど、乗ってがっかりなクルマが続きたから。マークXジオとか…。
なお、IS−Fの「F」は、富士スピードウェイ=ホームコースのF。これからのレクサスFシリーズが楽しみやね。
ノーマルのISに比べてフロントトレッドが広げられていて、フロントフェンダーも少々ワイド化。5L V8エンジンが収まるボンネットは、ノーマルのISよりも“盛り上がった”雰囲気かもしれない
センターコンソールにノーマルはウッドパネルが奢られるが、IS−Fではシルバーに塗装したものと、「シルバリースターリングファイバー」と呼ばれるカーボン調のものもオプション設定される