筆者プロフィール

西川 淳 Jun Nishikawa
1965年式
生産地:日本国 奈良県
型式:unknown

京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。


西川淳の「試乗会でこんにちは!」

今秋登場予定のアウディRS6アバント

Posted at Fri Mar 21 14:41:43 2008

スポーツワゴンの真骨頂でしょう

580psを誇るV10直噴ツインターボエンジンやフレアフェンダー仕立ての外観をもつ、アウディRS6アバント。ハイスペックモデルが大好物のボクには、正に”よだれモノ”な存在の世界最強ワゴンを南仏で試乗して来ました。

モーターショーで見たときからとっても気になっていたモデルである。アウディ市販量産モデルで史上最強(初のオーバー500PS)となる580psV10直噴ツインターボエンジンや、’80年代のクワトロスポーツを彷彿とさせる物々しいフレアフェンダー仕立て、そして何よりもこれだけの強力スペックをもつモデルがアバントであるということ、などなど。

量産メーカーのモデルとしては、世界最強最速のワゴンである。アウディのアバントはハッチバック以上ステーションワゴン以下という、どちらかといえばスペシャリティな装いのモデル(そういう意味では今回のRS6も、かのスポーツクワトロ直系であろう)という位置付けだが、それでもワゴン最速という勲章に文句はない。開発から生産まで、クワトロGmbHが行う。ライバルは、もちろん、BMWM5ツーリングとM・ベンツE63TAMG。現地価格10万6900ユーロというから、ほとんどスーパーカーのR8並だ。

まずはサーキットで全開性能を試す。わずか1500回転からほとばしる650Nmというビッグトルクが、2tという車重をものともせずに強烈な加速を生む。特筆すべきはその安定感で、アクセルペダルを踏みつけている間の怖さというものがまるでない。しかし、巨大な物体がとてつもない速さで動いていることだけは実感できる。そのギャップが、この手のスペシャルモデルの魅力だ。

サーキットでは230km/h弱まで出せたが、そんな速度域で安定感が揺らぐことなどない。250km/hでリミッター、望めば280km/hリミッターにすることも可能だ。とてつもなく重厚な走り味が、ハイスピードの世界をいともカンタンに実現してくれる。オプションの20インチブレーキの中に隠された巨大なブレーキシステムが、強烈な運動量を伴った物体を思い通りに減速してくれた。

組み合わされるトランスミッションはZF製6速AT。パドル操作が可能で、シフトダウン時にはちゃんとブリッピングする。だからといって、駆使してスポーティな走りを楽しむ、という性格のクルマではないことは確かだ。

街へ飛び出すと、サーキットでの重厚感が印象的に更に増す。ちょっとした装甲車をドライブしているかのような気分(乗ったことないが)。時速30km/hまでは何とか扱える範囲内の軽さだったステアリングフィールも、それを超えると数十kgの重りが腕に吊るされたように重い。女性はちょっとキツいんじゃないか。低速域ではフロントヘビーな印象も強い。

本領を発揮するのは、だんぜん高速道路上である。サーキットでみせた安心感が公道上では倍増するかのようだ。これほど安楽で心地よく速いハイウェイクルーザーをボクは他に知らない。RS4にも積まれていたDRC(ダイナミックライドコントロール)はオプションで3段階変更も可能で、そのコンフォートモードで走れば硬い乗り心地に悩まされることもない。

そう、決してスポーツカーではないのだ。これは超強力なGTカーというべき存在で、とてつもなく速く走るが、そこでドライバーを興奮させるということがない。あくまでも冷静でいられる。社会的に責任のある人が”どうしても”高速道路を自らかっとんでゆかねばならない、などという場面において、世界で最も重宝するクルマではないだろうか。走り切った向こうで一仕事、それも大事な用が待っている。運転で緊張したり興奮したりすることは、無意味であり無益であろう。

ブランド的にもクラス的にも、そしてパフォーマンスとステータス性においても、成功したビジネスマンのツールとしてこれほど満足度の高いモデルはない。ボクなら日本中どこへでも自分で走って行くグランドツーリングの相棒として、真っ先に名前を挙げたくなるクルマだと言える。日本上陸は、この秋だ。

     

Photo Collection

写真:筋肉質なボディは圧巻

筋肉質なボディは圧巻

真っ赤なボディカラーだと写真で凹凸が分かりにくいですが、実はフレアフェンダー仕立て。物凄く力強いデザインになっています。それでいてド派手ではないところがニクイ

写真:強靭な制動力はカーボンで

強靭な制動力はカーボンで

フロントホイールに収まるオプションのカーボンセラミック製のブレーキディスク。ホイールをここまで埋め尽くす大型なものも珍しい。これだけ速いクルマなのに、何の不安もなく停まる

写真:パッと見は大人しいのに

パッと見は大人しいのに

わずか1500回転からほとばしる650Nmというビッグトルクが、2tという車重をものともせずに強烈な加速を生む。250km/hでリミッター、望めば280km/hリミッターにできる

写真:あらゆる点で満足度が高い

あらゆる点で満足度が高い

ブランド的にもクラス的にも、そしてパフォーマンスとステータス性においても、成功したビジネスマンのツールとしてこれほど満足度の高いモデルはない。高速移動派にオススメの一台

写真:A3カブリオレ

A3カブリオレ

こんなクルマも展示されていました。日本での投入はまだ決まっていないようですが、なかなか可愛らしいモデルだと思います。4シーターカブリオレって、日本ではウケないのかなぁ?