京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。
クラウンって、ホンマ、不思議なクルマですな。若い頃はとんと興味がなかったけど、四十超えると急に気になり始めた。もっとも、4代目のクジラクラウンだとか、カタチにそそられる代もあったし、日本の旦那に似合いのクルマだという理解はずっとしていたけどね。性能だけを切り取って、単に批評する相手じゃないってことも。
要するに、オレもオッサンだな。ああいうラクチンなクルマにも乗りたいって、自然に思うわけですよ。特に日本の、都会の道路環境だとね。先代のゼロクラウンにしたって、すっごく運動性能が向上したってイメージあったけど、欧州車なんかと比べたら、高速域なんてまだまだだったし、やっぱり日本専用なだけあるわな感じだった。
でも、あのカタチは良かったな。アスリートの黒なんか、シンケンに見積もり取ったもの。600万円近くになって驚いたけど。ロイヤルも“らしく”て良かったし、マジェスタ白なんて“これぞ日本の旦那衆”てな装いで、ホント、ささりまくった。トヨタの目論み通り、スポーティなアスリートのおかげで、けっこうオーナー平均年齢も若返ったらしい。
さて。先代でゼロになった(けど、あんまり変わっていない)クラウンが、予定通りのモデルチェンジ。なんと13代目。よくもまあそれだけ続いたもんだ。最古ですね、連綿たる日本車としては。基本、中身はゼロのキャリーオーバーです。ロイヤルとアスリート、それぞれに用意されたエンジン&ドライブトレインの仕様がほぼゼロと同じ。ニュースはハイブリッドだけど発売5月なんで、またそのときに詳しく。
仕様が同じ、といっても細部はもろもろ見直されているわけで、中でも2.5lエンジンが良かった。パワー感は十分だし、エンジンフィールのキレもいい。アスリート、ロイヤルサルーンの両グレードに積まれるエンジンゆえ、このポテンシャルアップは多くのユーザーにとって嬉しいニュースになるはず。はっきり言って、ロイヤルの3lはもういらないな。アスリートの3.5lは、相変わらずパワフル。このエンジン、本当によくて、クラウンにはもったいない(だからレクサスISやGSにも最初に積んだんだけど)くらい。性能がいいだけじゃなく、官能的でもある。アルファロメオ用にしたっていいよなあ、ってくらい。
乗り心地が随分と改良された。走りにふった(と評判の)ゼロクラウンで煮詰め切れなかった部分らしく、デビュー直後からユーザーの不満として上がってきたんだそう。確かに後席とか、しんどかったもんな。個人的には何だか元の木阿弥って感じがしなくもないけど、やっぱりクラウンって日本固有の、そしてロイヤリティの強いユーザーに支えられたクルマなんだなって思う。いくら若返ったって、やっぱり“昔ながら”の味付けにしなきゃいけないわけですから。“ワシのクラウンを返せ”って。その割には低速域でちょっと路面があれるとバタバタしたり、もうちょっとしなやかな足にできないものかなあ、と思うんだけど、そうするときっと旦那乗りに不都合が生じるのでしょう。みっけもんだったのが、3lロイヤルの4WD。ちょっとベンツの4マチックみたいなライドフィールで気に入った。関東以北のユーザーには超オススメ。一番乗り味がいいかも。
とまあ、いろいろ言ったけれど、それでもクラウンが魅力的に思えてしまうから、四十過ぎのオッサンは始末悪いよね。内装とか、妙に落ち着くし。ただ、最新モデルのエクステリア(どことなくM・ベンツSクラス)はあまりにゴテゴテし過ぎていて、かなり脂ぎったオッサンに見えそう(特にロイヤルの有色系)だから、買うならアスリートかな、やっぱり。もしくはマジェ、待つ?でも、もっと派手になりそうだよな、この勢いだと。