筆者プロフィール

西川 淳 Jun Nishikawa
1965年式
生産地:日本国 奈良県
型式:unknown

京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。


西川淳の「試乗会でこんにちは!」

ポルトガルで乗ったシトロエンC5

Posted at Fri Apr 25 15:24:05 2008

日本への導入は今秋の予定

新型C5を、衝撃のルックスでクルマ好きを沸かせたアッパーミドルサルーンC6の流れで見ると、違和感を覚えてしまうかも知れない。C6こそシトロエン、という想いの強い人ほど、新しいC5に“らしさ”を見いだすことが難しくなるかも。私も実はそうだ。C6のカタチに衝撃を受けて乗る前から買うぞと盛り上がりとうとう買ってしまった人間には、2代目C5のスタイルはあまりにドイツ車風で、C6の文脈などこれっぽっちも感じられない。

ついC6の文脈で見てしまうからそうなるのだ。新型C5は、C3/C4の流れにある最新デザインと見なければならない。C6は、実は古いコンセプトなのだった。もっとも、ポルトガルの真っ青な空気の下で見るC5は、明らかに世間とは異質の、だからこそ“らしい”と言っても良さそうな、そんな存在感を放っていたのだから大したものだ。

そして、とにかくでかい。M2セグメント(欧州Dセグメント)とは思えないほど。それでいて、あのアクの強い顔立ちだから、余計に特別なものにみえてくる。実際、そのディメンジョンはM・ベンツEクラスとほぼ同等であり、アッパーミドルクラスサルーン&ワゴンのセグメント論がいよいよ難しくなってきた。

日本への導入はこの秋以降となる予定だが、日本仕様に積まれるエンジンタイプは旧型同様のガソリンエンジン2種類である。つまり、2L直4と3LV6。前者には4ATが、後者には6ATが組み合わされる。シトロエン好きならお気づきだろう。そう、エンジン&パワートレインは、やっぱりキャリーオーバーなのだった。これがC5最大の弱点。中身はC6とほぼ同じ。プジョー407と共通のプラットフォームであり、だからエンジンパワートレインも同様というわけ。工場も同じ仏レンヌの最新プラントだ。

C6と同じということは、もちろんシトロエンと言えばアレ、ハイドラクティヴ3+を搭載する。メカサスの用意もあるが、新生プジョーシトロエンジャポンが日本市場に持ってくるかどうか。相変わらず最近のシトロエンの内装は格好いいな、と思いつつ、まずはV6仕様に乗ってみる。発進時のぐにょぐにょした動きから、ノーズのけだるいまでの重さ、微速域で優柔不断なアイシンATの制御、町中速度域における非線形なパワステフィール、そして相変わらず座りの悪いレザーシートまで、ネガティヴな要素はC6と全く同じ。けれども、圧倒的に剛性(C6はピラーレス4ドアだった)と静粛性が優るゆえ、乗り味にちゃんと新しさがある。

クルージング域に達すると、C6のあの夢見心地なフラットライドはそのままに、しっかり感だけは増しているから、より安心して飛ばせる。スポーツモードにしても乗り心地の気持ち良さが変わらない。ひと言で言って、“しっかりとしたC6”なのだった。もっとも、適度な緩さもC6の魅力だったから、しっかりしたC6=C5が味わい深いとも一概には言えない。いずれにしてもフランス車のM2セグメントには、いかにサイズが大きくなったとはいえ、3LV6ではエンジンが勝ち過ぎているか。

2Lに乗って、その想いを強くした。パワステのフィールはリニアだし、ノーズの重たさもない。プジョー407ほど軽々しくなく、握っていてとても手応えがよろしい。ここ一番の加速こそしんどいが、凝ったデザインの速度計の針がゆったり動くのがかえって気持ちいいくらいスムーズに走れる。全体のバランスがV6モデルよりも圧倒的に優れている。4速のオートマチックが古くさいが、一定速度で走り出してしまえば、それすら忘れてしまうほど。ベロアシートの座り心地もよく(座った瞬間に判る!)、軽快なフラットライド感が名車エグザンティアを思い出させる。シトロエンらしさを味わいたいのなら、絶対に2L!

それにしても、ガソリンエンジン&パワートレイン、もう少し何とかならないものだろうか…。

     

Photo Collection

写真:メッキが高級感をアピール

メッキが高級感をアピール

ボディ下回りにメッキを用いることで、車を引き締まった印象にしている。ただ、期待よりも質実剛健な雰囲気たっぷりで、シトロエン車でよく見受けられるエキセントリックな部分が減った

写真:プラットホームはプジョーと同じ

プラットホームはプジョーと同じ

C5のプラットホームには、プジョー407と同じものが使われている。ボディサイズもほぼ似たようなものになっている。ドイツ車っぽいと散々言ったが、やはり個性的なデザインではある

写真:トランク形状で個性発揮?

トランク形状で個性発揮?

フロントやリアを見るかぎり、キレイにまとまったデザインの“フツー”な車に見える。しかし、トランクにはシトロエンらしい遊び心があった。見たこともないような形状に湾曲している

写真:ワゴンモデルもデビュー予定

ワゴンモデルもデビュー予定

ワゴンを見ると、あらためてドイツ車っぽいデザインになっていることが分かる。良し悪しの話ではなく、それほど奇抜なものをシトロエンに期待してしまっているのだろう・・・

写真:近未来デザインここに発見

近未来デザインここに発見

インテリアは左右対称にしたり、コックピット風味にしたり、自動車メーカーも気を使っているようです。C5はかなり独創的な近未来感を漂わせています。嫌いじゃありません