筆者プロフィール

西川 淳 Jun Nishikawa
1965年式
生産地:日本国 奈良県
型式:unknown

京都大学工学部精密機械学科卒業。自動車エンジニアを目指すべく、大学では機械工学を学ぶが何を間違ったか(株)リクルート入社。カーセンサーの編集に携わる。カーセンサー関東版副編集長を経て、現在カーセンサー編集アドバイザーを務める。フリーランスのライターとしても活動中。ほぼすべての新型車試乗をこなす。


西川淳の「試乗会でこんにちは!」

ジャガーXFは新世代Eセグメントの幕開け

Posted at Tue May 13 00:39:53 2008

当代一流のドライバーズカーと断言しておく

結論から言うと『ブリテッシュ・ブランドは凄い!』である。

こんなことをいうと、クルマ事情を良く知る人ほど、首をかしげるかも知れない。曰く、「何言うてんのん、どいつもこいつも身売りされたとこばっかしやん」。曰く、「イギリスにはもう1つも民族資本ないねんで」。また曰く、「イギリス車ってマトモなイメージないもんな」。などなど。

だから、見るべきものはないんじゃないか……。大間違いである。

確かにイギリスのブランドは今やほぼ全て外国資本によって支えてられている。VW(ベントレー)、BMW(ロールスロイス、ミニ)、フィード(ジャガー、ランドローバー、インド・TATAに売却か?)、プロトン(ロータス)。フォード傘下にあったアストンマーティンはプロドライブの英国人デビット・リチャーズに売却されたが、それにしたって中東の金融&オイルマネーがメインだ。

要するに全て余所に買われてしまった。そして、そのまま裏がえせば、欲しいと手を挙げたところがあった。そこが、ミソだ。

結果、今、名だたるブランドたちの製品商品はどうなっているのか。よく見て欲しい。アイデンティティを失ってしまったブランドはあるか?不出来なクルマを造っているブランドはあるか?

ない。ぜんぜん、ない。

それって、実に素晴らしいことじゃないか!本物の文化性を有していれば、たとえ資本が外国からやってこようと崩れることがない。主張があって、尊敬も受ける。だから逆にグローバルにも立派に通用する。ただし、商品として成功するかどうかは、時代の流れや親会社の戦略などによって左右される。今のところ、ジャガーとランドローバーは苦しいけれども、次の親玉はどうやら相当に太っ腹(金は出すが口は出さない、たぶん出せない)のようだ。大いに期待できよう。

さて、本題のXFについて。

断言してもいいが、今、このクラス(欧州Eセグメントに属する)最高のスッポーツサルーンじゃないか。何かが突出しているのではなく、全ての性能が高いレベルでバランスしている。だから、運転していて常に気分がいい。ゆっくり町中を流していても、高速道路をクルージングしていても、ワインディングをかっとばしてみても、クルマは常にドライバーに忠実でよく手に馴染む。驚くほど、心地いいライドフィール。

V8の自然吸気(19インチタイヤ)とスーパーチャージャー(20インチタイヤ)に乗ったが、個体差はあるものの、おおむね同じ乗り味で、自然吸気でも物足りないということがない。充分だ。サウンド的には自然吸気の方が優るほど。絶対加速を求める方だけが、スーパーチャージャーを狙えばよろしい。

足回りはスポーツクーペのXKとほぼ同じ。ボディ構造はアルミではなくスチールがメインだが、それが逆に効いている。アルミボディ特有の“輪郭”がやけにくっきりした走りではなく、ある程度そこをゆるくぼかしてクルマ全体でしなりをつくり、人間の感覚に自然な雰囲気で力を漲らせている。そこが、いい。こういうことができるジャガーは、やっぱり凄いと思う。きっと、社内の“どこかで誰かが”ジャガーらしさを常にブラッシュアップしモダナイズしバージョンアップしながら厳しく今に伝えているからだと思う。そう、たとえ“親玉”が変わろうとも……。


とにかく、XFはドライバーズカーとして当代一流である。デザイン的に好みは分かれるだろうが(特に顔付き)、クルマなんてものはそれぐらいでちょうどいい。万人受けする必要などない。XKクーペと同じシルエットを描くキャビンデザインの美しさに惚れて、中身が最高であるということを誇りに思いながら乗って欲しい。そういうクルマだ。

とにかく、クルマ好きならば、XFシリーズの実力を知っておいて損はない。否、クルマ好きを標榜するならば、Eクラスや5シリーズを褒める前にXFシリーズの実力を知っておかねばならないと思う。好き嫌い欲しい欲しくない買う買わないは別にして、そこには今、最高のライドフィールがあるのだから!

     

Photo Collection

写真:フロントマスクは賛否両論か?

フロントマスクは賛否両論か?

丸目のアクセントがなければ、個性がアピールしにくかったのかもしれない。ボンネットの盛り上がりが、力強さを静かに演出している。“焼肉網”風のグリルは健在

写真:ヘンに近未来していないが未来的

ヘンに近未来していないが未来的

リアは無理に近未来的なデザインにはなっていない。それでも新しさと洗練性を予感させる仕上がりになっているのは実に不思議。今までのジャガーイメージとは離れようとしている?

写真:試乗ルートで立ちるホテル

試乗ルートで立ちるホテル

海外試乗はロケーションの素晴らしさ、日本試乗会に先駆けて、と色々理由はあるでしょう。我々ライター陣は、道中立ち寄るところで意見交換をしたり旨いご飯を堪能します

写真:英国っぽさこそないが未来的

英国っぽさこそないが未来的

今までのジャガーからは考えられないほどすっきり未来的なデザインになったインテリア。シフトノブがなく、センターコンソール上のダイアルを使うのがミソ

写真:キッチリカッチリした走りの秘密

キッチリカッチリした走りの秘密

トランク内のカーペットを上げてみると、スペアタイヤが収まっている。そのちょっと上にはキッチリした走りを実現させるための、タワーバーが写っている。わざと見せるのも演出?